インプラントの治療期間はどのくらい?治療期間が延びるケースについても解説

インプラントは顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上から被せ物をすることで自分の歯に近い感覚が手に入る治療方法です。

しかし「インプラントは治療期間が長い」などの情報を目にして、治療を受けるべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、インプラントの治療期間について詳しく解説します。

インプラントの治療の流れとそれぞれの期間目安、治療期間が延びるケースなどもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

インプラントの治療期間は3か月~1年程度

インプラントの治療期間は3か月~1年程度

インプラントの治療期間は3か月〜1年程度が目安となります。

上記のように治療期間に差があるのは、患者さん一人ひとりの口腔内の健康状態や治療する部位によってかかる期間が異なるためです。

下顎は6か月、上顎は1年程度の治療期間がかかります。

また顎の骨がしっかりしていて歯茎が健康な方であれば、治療期間が短期間になりやすいです。

一方、顎の骨が薄かったり歯周病があったりすると、造骨手術や歯茎の治療が必要になるため、治療期間が長引きやすくなります。

詳しい治療期間については、歯科医に確認してみましょう。

インプラントの治療中は歯がない期間があるの?

インプラントの治療中は歯がない期間があるの?

インプラントには1回法と2回法の手術方法があり、どちらもインプラント体を埋め込んだ後に骨と結合するのを待つ期間が必要になります。

「インプラントで歯がない期間」といわれるのがこの期間で、およそ3〜7か月程度です。

しかし、前歯など目立つ場所には隣の歯にくっつけるような形で仮歯を入れることもできます。奥歯であれば、入れ歯を入れることも可能です。

治療中の歯のない期間が気になる場合は、事前に歯科医師に相談しておくと安心でしょう。

インプラントの治療の流れとそれぞれの期間目安

インプラントの治療の流れとそれぞれの期間目安

インプラントの治療の流れは以下の通りです。

  1. カウンセリング・精密検査・治療計画
  2. 虫歯や歯周病などの事前治療
  3. 人工歯根埋入手術
  4. インプラント定着期間
  5. 人工歯の装着
  6. 定期検診

ここでは上記の流れとそれぞれの期間目安について解説します。

カウンセリング・精密検査・治療計画

インプラント治療をするにあたって、最初にカウンセリングや精密検査、治療計画を行うことになります。

ここでかかる期間は2日〜2週間程度で、2〜3回の通院が必要です。

レントゲンやCT撮影、口腔内模型などを使用して口腔内や顎の骨の状態を細かく確認し、治療計画を立てていきます。

カウンセリングでは治療法や費用、治療のリスク、治療の流れ、通院期間などを確認し、治療内容に同意できたら次のステップに進むことになります。

虫歯や歯周病などの事前治療

精密検査の結果、虫歯や歯周病などが見つかった場合には先に治療を行います。

治療にかかる期間は症状によって大きく異なります。

また顎の骨が少なくインプラント治療が難しい場合には、造骨治療や人工骨埋入手術などが必要となるでしょう。

特に問題がなかった場合には、事前治療を行わずにすぐに人工歯根埋入手術を行います。

人工歯根埋入手術

人工歯根埋入手術は、インプラントの土台となるインプラント体を顎の骨に埋め込む手術です。

1回法と2回法の2つの手術方法があり、どちらを選ぶかによってかかる期間が異なります。

1回法と2回法の治療の流れや通院回数の目安は以下の通りです。

1回法 2回法
特徴 治療期間が短く済み、手術費用も抑えられる 1回法よりも感染リスクが低く、様々な症例に対応できる
治療の流れ
  1. 歯茎を切開して歯槽骨にドリルで穴をあける
  2. インプラント体を埋め込み仮アバットメントを装着する
  3. インプラント体と顎の骨が結合するのを待つ
  4. 被せ物を装着する
  1. 歯茎を切開して歯槽骨にドリルで穴をあける
  2. インプラント体を埋め込む
  3. 歯茎を縫合してインプラント体と顎の骨が結合するのを待つ
  4. 歯茎を再度切開してインプラントを露出させアバットメントを連結する
  5. 被せ物を装着する
通院期間の目安 1日~2週間 3~7か月
通院回数の目安 1~2回 4~6回

どちらの方法で手術を行うかは、歯科医が判断します。

手術法に関する説明があるため、きちんと聞いておきましょう。

インプラント定着期間

インプラント体を埋め込んだ後は、顎の骨と定着するまでの期間が必要になります。

1回法と2回法どちらの手術法を選んでも3~7か月程度の期間が必要となり、この期間には個人差があります。

この定着期間中は過ごし方にも注意が必要です。スムーズな定着を促すためにも、以下のような行動は避けるようにしましょう。

  • 治療部位で食べ物を噛む
  • 治療部位に触る
  • 手術後1週間以内の飲酒や激しい運動
  • 手術当日のうがい
  • 喫煙

喫煙は血行を悪化させることにより、骨とインプラントの結合に悪影響を及ぼす可能性が高いです。

生活環境や生活習慣を整えておくことで、スムーズにインプラント体が定着し、治療期間の短縮につながりやすくなります。

人工歯の装着

インプラント体が定着したら、人工歯を装着します。人工歯の装着は1日で完了します。

インプラント体の上にアバットメントを装着し、その上から人工歯を装着するという流れです。

アバットメントと人工歯それぞれ様々な種類があるため、自分に適したものを選ぶようにしましょう。

例えば人工歯には以下のような種類があります。

メリット デメリット
オールジルコニア
  • 強度があり奥歯にも使用可能
  • 天然歯に近い白さや光沢がある
  • 変色しにくい
  • セラミックに比べると審美性で劣る
オールセラミック
  • 天然歯に近い透明感やツヤがある
  • 変色しにくい
  • 衝撃に弱く割れることがある
ジルコニアセラミック
  • 強度が高く天然歯よりも硬い
  • 変色しにくい
  • 費用が高額
  • 噛み合う天然歯がすり減る可能性がある
ハイブリッドセラミック
  • 比較的安価
  • 変色が起こる
  • 白い被せ物と比べて審美性が劣る
メタルボンド
  • 強度が高い
  • セラミックが割れても修理しやすい
  • 金属アレルギーのリスクがある
  • 歯茎が黒ずむ可能性がある
金属
  • 強度が高い
  • 外れにくい
  • 金属アレルギーの方は使用できない
  • 審美性が低い

見た目を重視するのか、機能性を重視するのか、費用を重視するのか、自分が重視したいものを踏まえたうえで検討してみてください。

定期検診

インプラント治療後は、定期検診を受ける必要があります。

適切なケアを怠っていると、インプラント周囲炎という感染症にかかってしまうリスクがあるため注意が必要です。

適切なケアと定期検診を受けることにより、万が一トラブルが発生してしまった場合もすぐに対処できます。

インプラントの治療期間が延びるケース

インプラントの治療期間が延びるケース

インプラントの治療期間が延びるケースとして、以下のようなものが挙げられます。

  • 骨造成手術
  • 歯肉移植手術
  • 骨誘導再生(GBR)
  • 糖尿病などの持病
  • 手術部位の感染

ここでは上記5つのケースについてそれぞれ解説します。

骨造成手術

インプラント治療を受けるためには、顎の骨に十分な厚みと量が必要です。

歯を失った部分の骨が痩せてしまっている場合、インプラントを埋め込むことが難しくなるため骨造成手術を行います。

骨造成手術では自分の骨や人工骨を使用して顎の骨を補強し、インプラントが埋め込めるようにします。

この手術には4~7か月程度の期間が必要となるため、インプラント治療全体の期間が延びる要因となるでしょう。

歯肉移植手術

歯茎の状態がインプラント治療に適していない場合、歯肉移植手術が必要になることがあります。

特に歯茎が薄いまたは不十分な場合には、移植によって歯茎を補強し、インプラントの安定性を向上させる必要があります。

歯肉移植手術の治療期間は1〜2か月程度です。

歯茎が完全に回復するのを待ってから、インプラント体を埋め込むことになります。

骨誘導再生(GBR)

骨誘導再生(GBR)は、インプラントを埋め込む際に十分な骨量がない場合に行われる再生治療です。

インプラントを埋め込む際に薄い骨の部分に骨補填剤を入れ、人工メンブレンという材料で覆います。

これによりインプラントを安定させながら骨の薄い部分を補うことが可能です。

インプラントを埋め込むのと同時に行える治療のため、骨造成手術よりも治療期間を短縮できるメリットがあります。

糖尿病などの持病

糖尿病などの持病を持っている方は免疫力や治癒能力が低下しているため、インプラント治療を行う際には注意が必要です。

免疫力や治癒能力が低下した状態でインプラント体を埋め込むと、インプラント周囲が細菌に感染したり、インプラントと顎の骨の結合に時間がかかったりする可能性があります。

持病がある場合は医師と相談のうえで適切な治療計画を立てましょう。

手術部位の感染

インプラント手術後に手術部位が感染してしまうと、治療期間が大幅に延びることがあります。

傷口が細菌に感染することにより、インプラントと顎の骨が上手く結合できなくなる場合があるのです。

また感染を抑えるために抗生物質の投与や追加の治療が必要となる場合があり、感染が深刻な場合には再治療が必要になることもあります。

このような状況では治癒を待つために治療が中断され、全体的な治療期間が長引いてしまいます。

インプラント治療後は定期的なメンテナンスが必要

インプラント治療後は定期的なメンテナンスが必要

インプラント治療後は定期的なメンテナンスが必要となります。

ここでは歯科医院でのメンテナンスとセルフメンテナンスについて詳しく解説しましょう。

メンテナンスを怠るとインプラント周囲炎のリスクがある

適切なメンテナンスを怠ると、インプラント周囲炎を引き起こすリスクがあります。

インプラント周囲炎は、インプラント周辺の粘膜や歯槽骨に炎症が起こる症状です。主な症状として、歯茎からの出血や膿などが挙げられます。

症状が進行すると歯茎が下がってインプラント体が見えることがあり、さらに症状がひどくなるとインプラント体がぐらついて最終的に抜け落ちてしまうこともあります。

またインプラント体に影響があるだけでなく、炎症を起こした原因菌が血流に侵入して全身を巡り、身体に様々な悪影響を及ぼす恐れがあり危険です。

インプラント周囲炎を防ぐためには、歯科医院でのメンテナンスと自宅で行うセルフメンテナンスのどちらも怠らないことが大切です。

歯科医院でのメンテナンス

歯科医院でのメンテナンスでは、専用の器具を使用して歯垢や歯石を除去します。

インプラントのネジが緩んでいないか、過剰な力がインプラントにかかっていないかなども合わせてチェックすることが多いです。

クリニックによってメンテナンスで行う内容は異なりますが、レントゲンを撮影してチェックする場合もあります。

普段過ごしていてインプラントに関して気になることや悩んでいることがあれば、メンテナンスのタイミングで相談しておくと良いでしょう。

セルフメンテナンス

インプラントを長持ちさせるためには、適切なセルフメンテナンスも欠かせません。

セルフメンテナンスのポイントは以下の通りです。

  • 丁寧に歯磨きを行う
  • 研磨剤の含まれていない歯磨き粉を使用する
  • 歯間ブラシやデンタルフロスを使用する

セルフメンテナンスの基本は丁寧に歯磨きをすることにあります。

力を入れすぎたり歯磨きが雑だったりすると、汚れが蓄積したりインプラント体が露出してしまったりといったトラブルにつながる恐れがあるため注意しましょう。

歯磨きの仕方は歯科医院で教わることもできるため、不安な方は歯科医に相談してみてください。

まとめ

インプラントの治療期間は3か月〜1年程度が目安です。

患者さん一人ひとりの口腔内の健康状態や治療する部位によってかかる期間が異なり、顎の骨や歯茎の状態によっては上記以上の治療期間がかかる場合もあります。

堂島デンタルクリニックでは、患者さん一人ひとりに合わせた治療計画を立てています。

インプラント単体で考えるのではなく、お口の中全体を美しく機能的に整えることを重視しているため、インプラントを検討している方はぜひ当院まで気軽にご相談ください。

堂島デンタルクリニック